打楽器は、その発音構造から誰でも簡単に音は出せます。しかし、その反面、音をコントロールすることは大変難しい楽器なのです。
「打楽器」という楽器自体には、トランペットのピストンやフルートのキー、ピアノの鍵盤のような装置は付いていません。打楽器を演奏するには自分の「腕」や「指」などが「ピストン」や「キー」「鍵盤」の代わりとなり、自分の意思通りの正確な動きができてこそ、思い通りの音が出せる訳です。
つまり、「腕」や「指」などの身体の動きそのものが打楽器の音列を生み出しており、この動きをスムーズにコントロールできることが、自分が思い描く「音」や音楽表現を生み出す為の技術の根本、そして演奏の再現性となっています。同じ事がバイオリンやギターなどの弦楽器でもいえると思います。
その音列発生システムである「腕」や「指」などの動きをコントロールできないまま、打楽器を練習して果たして充分な練習結果が得られるのでしょうか。やれ指が動かない、手首が固い、などといったポイントから始める練習には無駄が多すぎないでしょうか。